導入準備の事例
日報に困る事務担当者が、最初の相談相手になる。建設業向けDX支援のAI電話設計
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現場から日報が届かない。届いた紙を表計算ソフトへ転記し、給与や経費の集計に使う。同じ情報をいくつもの場所へ入力しながら、提出されていない分を催促する。今回の打ち合わせでは、建設会社の事務担当者が日常的に抱えるこうした仕事が、電話の入口を考える手がかりになりました。
ご相談いただいたのは、建設業向けに業務改善やシステム開発を支援する会社様です。営業は空き時間を使って電話しており、相談に伺える件数にも限りがありました。広くDXを説明するだけでは、相手が自分の仕事と結び付けにくい。そこで、日報という具体的な業務に絞った会話を組み立てることになりました。
契約後の打ち合わせでは、台本の材料、訪問先に応じた日程の条件、アポイントにならなかった通話の分類まで確認しています。本記事では、その導入準備の過程を紹介します。架電開始後の成果を報告する段階ではなく、実際に運用できる電話の流れをどう作ったかが今回のテーマです。
ご相談の概要
- 事業
- 建設業の業務改善・DX支援
- 架電先
- 訪問対応できる地域の建設会社
- 電話の入口
- 日報の回収・集計・転記に関する困りごと
- 相談の着地点
- 訪問またはオンラインの打ち合わせ、資料送付
- 準備の段階
- 契約後の台本・日程条件・通話分類の設計
社長への取り次ぎだけを目指さず、事務の仕事から話を始める
当初から課題になっていたのは、電話をかけても受付で会話が終わりやすいことでした。ただし、今回提案する日報の業務改善は、受付を兼ねる事務担当者にも関係があります。相手を通過するための窓口として見るか、困りごとを聞ける当事者として見るかで、最初の言葉が変わります。
打ち合わせでは、事務担当者にも提案内容を説明し、関心を持ってもらう構成を選びました。いきなりAIやDXという言葉を中心に置くのではなく、日報の集計や転記がどのような仕事になっているかを入口にする案です。営業が伝えたい機能の名前を、相手が日々触れている作業へ置き換えます。
同じ日報でも、現場担当者なら提出の手間、事務担当者なら回収と集計、経営者なら人員や現場状況の把握が話題になります。最初に出た方の役割を踏まえて、説明する順番を変える必要があります。全員に同じ効果を約束するのではなく、誰のどの仕事を相談する電話なのかを明確にします。
日報のどこが大変なのかを、台本の材料にする
先方には、現場で使ってきた定型の台本はありませんでした。担当者の経験の中に、よくある反応や説明の仕方がある状態です。そのため、既存文章をそのまま音声化するのではなく、打ち合わせで現場の経験を言葉にし、Callforce側で会話のたたき台を作る流れになりました。
具体例として出たのは、紙の日報をまとめて入力すること、未提出の日報があるため月末の作業を進められないこと、提出を何度も促す負担です。これらは顧客企業全体に共通する事実と断定するものではなく、先方の支援経験から挙げられた話です。電話では相手の状況を確かめてから説明を進めます。
準備として、過去によくあった断られ方と、実際の支援事例、案内資料の共有も依頼しました。これにより、関心を示された場面だけでなく、すでに別の仕組みを使っている場合や、内容を詳しく聞かれた場合の返しを検討できます。台本の質を左右するのは、説明を増やすことより、根拠となる材料の具体性です。
料金を聞かれても、その場で一律の金額を約束しない
業務改善の内容は、会社ごとに異なります。日報を扱う仕組みでも、何を集計し、どこまで連携させるかで必要な作業が変わるため、電話だけで正確な料金を答えることは難しいという確認がありました。価格の質問を受けたときは、詳しい状況を聞いたうえで見積もるという順序を基本にします。
一方、相手が比較のために目安を知りたい場合もあります。打ち合わせでは、確認済みの過去事例を材料として使う案も話しました。ただし、参考となる事例の金額と、電話先への見積もりは分ける必要があります。条件の違いを省いて安さだけを伝えると、後の相談で期待がずれてしまいます。
AIに渡す情報は、価格表だけでは十分ではありません。答えてよい範囲、追加の確認が必要な質問、担当者に引き継ぐ場面を決めます。今回も、資料や具体例を共有してから応答を整える流れです。説明できない部分を無理に埋めず、次の打ち合わせで確かめる内容として残す設計が大切になります。
空いている時間と、実際に訪問できる時間は違う
先方の強みの一つは、建設会社へ直接訪問して相談できることでした。そのため、カレンダーに空きがあればどこへでも予定を入れられるわけではありません。近隣の企業と離れた地域の企業では移動に必要な時間が異なり、同じ日程の出し方では訪問できない予定が生まれます。
導入準備では、担当者ごとのカレンダー連携を依頼し、地域別に前後の余白を設ける条件を確認しました。訪問地の情報をリストに持たせ、地域に応じた日程を提案するための追加設定を進める方針です。これは今回の個別設計であり、設定がすべて完了して稼働したことまでを示すものではありません。
オンラインでの打ち合わせにも対応することが確認されました。日程だけでなく、会い方も相手と営業の双方に合う必要があります。予約件数を増やす評価に加えて、移動を含めて無理なく対応できる予定になっているかを確かめる。少人数で支援する会社では、この条件が営業と納品を両立させる土台になります。
アポイント以外の反応を、営業が拾える形に残す
その場で打ち合わせまで進まなくても、資料を希望されることがあります。今回の打ち合わせでは、資料送付をもう一つの着地点として設け、担当者名やメールアドレスを確認する案を整理しました。事務担当者にも資料の案内を行い、次の接点を残す方向です。
メールアドレスは音声だけでは聞き取りが難しいため、録音を確認する作業が必要になることも話題になりました。また、資料送付後の電話は人が対応する前提で整理しています。資料希望の通話に分類を付け、期間を区切って抽出する運用が説明されました。送付や確認まで自動で完了するという意味ではありません。
ほかにも、担当者名は分かったが本人とは話せなかった場合や、戻る時間を教えてもらえた場合などを分ける方針です。再連絡の時間が分かっている案件は、情報を見た営業が動ける状態にします。単に長く話した通話と、次の具体的な行動が決まった通話を同じ扱いにしないことが重要です。
| 通話で分かったこと | 次の対応で確認すること |
|---|---|
| 資料を希望している | 送付先・担当者名・送付後の連絡担当 |
| 担当者が不在 | 名前・再連絡できる時間 |
| 日報の課題に関心がある | 誰と、何を相談するか |
| 打ち合わせを希望している | 訪問地域・移動時間・実施方法 |
開始日より先に、確認を終える順序をそろえる
導入準備の会議では、早い開始を希望しつつ、台本を作り、確認し、修正して、最終テストを行う順序を共有しました。台本がない状態から始めるため、相手の反応をどう受け止めるかを一度形にして見てもらうことが必要です。期日だけを先に固定しても、この確認作業はなくなりません。
先方には資料や事例の提出、カレンダーの設定、テストを受ける連絡先の指定などを依頼しています。Callforce側では会話の流れを作り、具体的に確認できる形で共有する予定です。どちらが何を準備するかを分けることで、通常業務を続けながらでも確認を進めやすくなります。
これから確かめたいのは、事務担当者に日報の話が届くか、相談の内容と日程が営業へ正しく渡るか、資料希望や不在後の連絡を回収できるかです。導入後の数値はまだ示せませんが、見るべき場所は整理できます。日常の困りごとから会話を始め、支援につながる接点を育てる。その準備が今回の中心でした。








