導入準備の事例
アポを取る前に、電力会社を一つ聞く。新電力仲介会社が進めるAI電話の導入準備
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AIにアポイントまで取ってもらえますか。電話の相談ではよく出るテーマですが、今回の新電力仲介会社様が最初に求められたのは、もっと手前の情報でした。店舗が現在契約している電力会社を聞く。その結果を受け取って、営業担当者が後から電話をする。短いヒアリングを営業活動につなぐ使い方です。
同社は新電力の仲介を長く続け、既存のお客様に対してエアコンや電子ブレーカーなどの提案も行っていました。一方で、その提案先が一巡し、新しい顧客との接点を作ることが課題になっていました。候補のリストはあっても、契約情報を一件ずつ人が電話で確認するには時間がかかります。
打ち合わせでは、まず質問を絞った録音型の電話を組み、社内で成果を出しているアポインターの音声を使う方向で準備の話が進みました。ここでご紹介するのは、稼働後の成果ではなく、何をAIに聞かせ、どこから営業が受け持つかを決めた導入準備の内容です。
ご相談の概要
- 事業
- 新電力の仲介とエアコン・電子ブレーカー等の提案
- 架電先
- 飲食店や美容室などの店舗・小規模事業者
- 現在の課題
- 既存顧客への提案が一巡し、新しい提案先の情報収集が必要
- AIに任せる範囲
- 契約している電力会社の確認と回答の記録
- 人が担当する範囲
- 契約内容に応じた説明、具体的な提案、商談
- 準備するもの
- 架電リスト、短い台本、社内アポインターの録音音声
既存顧客への提案が一巡し、新しい入口が必要になった
先方は、電力の仲介を通じて接点を作ったお客様に、設備の提案も広げていました。打ち合わせでは、エアコンなどの販売が伸びる一方、既存の提案先が少なくなっている状況が共有されました。営業担当者はいるため、新しく話を進められる相手を継続的に見つけたいという相談です。
対象として挙がったのは、飲食店、美容室、商店などの事業者でした。ただし、店舗名と電話番号のリストがあっても、契約中の電力会社までは分かりません。提案の入口になる情報を得るため、人が順番に電話をする必要がありました。今回AIを当てようとしているのは、この情報を確かめる工程です。
初回の電話で聞くのは、まず契約中の電力会社
ご要望は、現在使っている電力会社を把握し、後日営業から連絡するという明確なものでした。最初から料金プランや設備導入の説明まで広げると、相手からの質問も増えます。先方は、提案の言い回しが月によって変わることや、知識が必要な受け答えがあることも挙げていました。
そのため、初回の台本では確認する目的を伝え、契約先を聞き、回答を残す流れを優先します。例えば『現在ご契約中の電力会社を教えていただけますか』という聞き方が考えられます。これは編集上の台本例です。未確認の会社名を決め付けたり、電力会社の窓口だと誤解させたりせず、自社の立場を明確にした聞き方に整えることが前提になります。
会社名と電話の用件を伝え、確認に対応できる方かを確かめる。
契約中の電力会社を聞き、回答の内容を記録する。
詳しい説明を求められた場合は、担当者からの連絡につなぐ。
社内のアポインターの声を、短い確認電話に使う
今回の準備では、社内で成果を出しているアポインターに音声を録音していただく話になりました。電話で成果を出している人には、用件の切り出し方や語尾の置き方など、台本の文字だけでは伝わらない工夫があります。その声を使い、契約先を聞く会話の分岐を組む方向です。
録音前には、挨拶、質問、回答へのお礼、不在、分からないという返答、担当者への引き継ぎを整理します。議事録では三十から四十程度の音声が目安として挙がりましたが、必要な数は台本次第です。録音の本数をそろえることより、相手の返答に対して会話が途切れないかを確かめることが大切です。追加の分岐が必要なら、音声も追加する準備にします。
| 相手の返答 | 準備する受け答え | 残したい状態 |
|---|---|---|
| 電力会社名を回答 | お礼と、必要に応じた今後の連絡案内 | 契約先が確認できた |
| 担当者でない・分からない | 確認できる方や連絡可能な時間を尋ねる | 担当者確認が必要 |
| 詳しい料金を知りたい | 営業担当者が説明する旨を伝える | 説明を希望している |
| 案内は不要 | 意向を受け止めて通話を終える | 以後の連絡対象から除く |
回答を得たリストは、アポイントのリストではない
電力会社名が分かった相手と、具体的な提案を希望している相手は分ける必要があります。今回の電話の目的は、まず契約先のヒアリングです。回答していただいたことだけで、切り替えや商談への同意があると扱うと、その後の営業が相手の認識とずれてしまいます。
そこで、引き継ぎの設計では、契約先の情報と、提案への反応を別々に残すのが有効です。例えば『契約先は回答済み・説明希望は未確認』なら、営業はその前提で話を始められます。『詳細を聞きたい』という返答があれば、その言葉と確認日時を添えます。こうした分類は、今回の役割分担を実務に落とし込むための整理です。
営業側の一覧には、確認した日、回答した相手の立場、契約先の回答、次に連絡する理由をそろえたいところです。古い回答だけを見て連絡したり、受付の方の推測を契約情報として扱ったりしないためです。情報の取り方を短くするほど、少ない項目をどう正確に残すかが、その後の提案のしやすさに直結します。
一万件を早く回すなら、後追いできる量も決める
先方からは、最初に一万件程度を試したいことや、複数の回線で早く進めたいという希望も出ていました。これは実施済みの件数ではなく、導入時の希望です。発信を増やすと回答もまとまって届くため、営業担当者がどの順で連絡するかを合わせて決める必要があります。
運用案としては、説明希望のある相手、契約先を確認できた相手、担当者への確認が必要な相手を分け、それぞれの対応期限を設定します。対象店舗の忙しい時間帯を避けることも重要です。件数だけを急いで増やすと、回答は集まっても後追いが遅れます。電話の処理量と営業が受け取れる量をそろえて、回線数や発信時間を決める考え方です。
想定外の質問は、詳しい提案をする人へつなぐ
録音型で始める場合、事前に用意していない質問への対応が論点になります。今回も、分からない内容を聞かれたら担当者から連絡する形になるのか、という確認がありました。契約先を聞くという短い仕事に絞っても、相手がその場で料金や条件について聞き返す可能性は残ります。
そのときに、確認できていない削減額を案内したり、契約条件を言い切ったりする必要はありません。詳しい内容は担当者が確認して説明すると伝え、質問の内容を残す方が、営業は次の会話を始めやすくなります。録音と文字起こしを確認する運用も含め、聞き間違いや不明な回答を、そのまま確定情報として営業に渡さない流れを用意します。
準備のゴールは、営業が使える回答を受け取れること
打ち合わせの終盤では、先方がリストと台本を用意し、録音依頼のシートに沿って音声を収録する流れを確認しました。その音声をもとに構築と確認を進める段階です。導入を進める合意と、実際に稼働して成果が出たことは分けて捉える必要があり、獲得件数や成約への効果は運用後に確かめていきます。
確認したいのは、契約先の回答がどれだけ正しく取れたか、不明な回答を適切に分けられたか、営業がその情報を使って会話を続けられたかです。AIに長く話させることを目標にせず、必要な情報を短く確かめ、詳しい提案に人の時間を使う。新しい提案先を増やしたいという課題に対して、最初の役割を絞って始める導入準備です。
稼働前の確認では、会社名がはっきり答えられる場合だけでなく、略称で答える場合、複数の契約がある場合、答える方が把握していない場合も試します。ここで求めたいのは、すべてを確定させることではありません。不明なものを不明と残し、確認できたものだけを次の営業へ渡せることです。この境界を台本と管理画面の両方でそろえてから、対象を広げます。





