ご相談・提案事例
リストは作れる。担当者につながらない。業務用食材ECが考えた、受付対応から始めるAI電話
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営業先を探す時間は減った。それでも、営業担当者が商品やサービスの説明をしている時間は増えていない。リスト作成にAIを使い始めた会社では、その次に残る工程が見えてきます。今回ご相談いただいた業務用食材ECの運営会社様では、出店候補を抽出する仕組みがすでにあり、課題は電話の入り口に移っていました。
自社の媒体に出店する企業を開拓するため、法人向けの電話営業を行っている会社様です。打ち合わせで共有されたのは、受付対応の結果が担当者のスキルによってばらつき、肝心の相手につながる割合が低いという課題でした。先方の肌感では接続はおよそ10%。この数字は集計済みの実績値ではありませんが、現場がどこに負担を感じているかを表しています。
話が進んだのは、AIに何件かけさせるかだけではありません。録音した声で対応する方式と、AIが返答を生成する方式をどう比べるか。接続後に営業が出られないときはどうするか。社内で判断するために何を見せるか。導入前の相談で整理した、出店企業開拓のための業務設計をご紹介します。
ご相談の概要
- 事業
- 業務用食材ECの運営と出店企業の開拓
- 架電先
- 媒体への出店候補となる法人
- 現在の課題
- リストは抽出済みだが、受付対応の負担と接続のばらつきが残る
- 相談した範囲
- 受付対応のAI化、方式比較、営業への転送と折り返し
- 次の準備
- 既存台本を使った音声と管理画面のデモによる社内確認
出店候補は見えているのに、提案を聞く担当者まで届かない
先方では、外部のECなどに出店している企業へのアプローチも、新規開拓の一つとして挙がっていました。リスト抽出そのものはAIを使って進められているため、今回の主題は企業情報をさらに集めることではありません。抽出した候補に電話をかけ、担当者との会話を始めるまでの工程でした。
受付で用件を聞かれる、担当者が不在だと伝えられる、取り次いでもらえず終わる。こうした応答が続くと、出店のメリットを説明できる人も、その手前に時間を使います。ここで整理したいのは、接続しなかった電話をすべて無駄と扱わないことです。不在と明確な断りでは、次に取るべき行動が違います。結果を分けて残すところから、受付対応の設計が始まります。
受付対応の完了と、アポイント獲得の完了を分ける
打ち合わせでは、AIに任せたい仕事を三つに整理しました。受付から担当者へつなぐこと、アポイントの約束まで取ること、商談に必要な情報を聞くことです。いずれも電話ですが、終点が変われば必要な会話も変わります。今回の先方の課題に近かったのは、まず受付対応を担わせる使い方でした。
運用を組む際は、担当者につながった時点で成功と数えるのか、営業が引き継げた時点まで見るのかを決める必要があります。受付を通過しても、先方に同じ説明を繰り返してもらったり、こちらの営業が不在だったりすれば、商談への流れが止まります。接続した件数だけを目標にすると、この引き継ぎの欠落を見落としてしまいます。
受付に用件を伝え、出店に関する担当者への取り次ぎを依頼する。
担当者と会話できた場合は、営業への引き継ぎ条件を確認する。
不在・断り・折り返し希望を分け、次の対応に必要な情報を残す。
録音型と生成対話型は、得意な会話から選ぶ
今回説明した録音型は、人が事前に収録した音声の中から、相手の返答に合わせて流すものを選ぶ方式です。用件の説明や不在時の応答など、想定するやり取りが定まっている工程に合わせやすくなります。一方、出店後の具体的な使い方や個別の質問に踏み込むほど、用意する内容や引き継ぎ条件の整理が必要です。
生成対話型は、返答を生成しながら会話を進める方式です。ただし、自由に答えられることと、事業上正しい回答を続けられることは同じではありません。何を説明できるようにするか、根拠のない回答をどう避けるかも含めて設計します。先方からは、小さく始めて両方式を比較し、その結果から使い分けを判断したいという意向が示されました。
| 比較する観点 | 録音型 | 生成対話型 |
|---|---|---|
| 向き合う会話 | 用件説明や不在応答などの想定した分岐 | 説明や質問への対応を含む会話 |
| 準備するもの | 台本・分岐・録音音声 | 説明情報・応答方針・回答範囲 |
| 確認したい点 | 想定外の質問から人へ渡す流れ | 回答の正しさと会話の着地点 |
A/B比較で変える条件を決め、営業の手間まで測る
先方が期待されていたのは、方式の名前だけで選ぶことではなく、実際の費用対効果から判断できる状態でした。企業の規模などによって適した方式が違う可能性も話題になりました。ここからの設計では、同じ対象層に近い条件で試し、リストの違いと音声方式の違いを混ぜないことが大切です。
例えば、片方だけ担当者名のあるリストを使うと、接続率の差が方式によるものか判断しにくくなります。比較表には架電件数、会話できた件数、担当者への接続、営業への引き継ぎ、後追いの時間を並べたいところです。これは今回の相談を踏まえた評価方法の提案であり、すでに比較結果が出ているという意味ではありません。
費用を見るときも、通話の単価だけでは比較が終わりません。担当者につながるまでの費用と、つながった後に営業が説明し直す時間を合わせて見ます。録音型で短くつなぐ方が合うのか、AI側で一定の説明を終えた方が営業の負担が小さいのか。出店につながる商談を作るという目的から、評価する単位を決めることが必要です。
つながった瞬間に営業が出られない。その先も台本に入れる
有人転送については、担当者へ順番に呼び出す、優先順位を付けるといった運用案が説明されました。接続先として固定電話や携帯電話を使う場合も、受ける人が誰なのかを決める必要があります。営業チームが商談中の時間帯に発信を集中させれば、接続できても受け手が足りなくなるからです。
そのため、誰も応答しない場合には折り返しへ切り替え、名前や連絡先を確認する流れも相談しました。実際に構築する際は、待たせる時間、確認する項目、折り返す担当と期限をひと組で決めます。電話を転送する機能だけを置くのではなく、つながった機会を営業が回収できるところまでを一つの仕事として扱います。
社内説明には、一般的なデモより普段の台本が効く
打ち合わせの後半では、社内で検討するための管理画面デモと、自社の標準的な台本を音声化したサンプルが求められました。既存の台本を共有いただき、それを使って確認できる形を準備する流れです。説明資料も、必要な箇所を選んで社内向けに伝えられる形式が希望されていました。
普段の言い回しがどのような間合いで聞こえるか。不在という返答に何を返すか。通話の結果がどこに残るか。こうした具体的な確認ができると、導入後に担当者が何をするのかを議論しやすくなります。音声の自然さだけで終わらず、日々の営業の動きと管理画面を結び付けて見せることが、社内判断を支えます。
デモで確認する場面も、話が順調に進むものだけにしない方が判断しやすくなります。担当者が不在の電話、出店について詳しく聞き返される電話、転送先が応答しない電話を用意し、それぞれが管理画面にどう残るかを見る。こうした確認項目をそろえれば、社内でも音声の好みだけで議論が終わらず、実務で使うための条件を話せます。
小さく試して、次に増やす対象と工程を見つける
この段階では、社内判断のための台本共有とデモ準備が次の作業になっています。運用開始後の接続率や出店獲得数は、まだ本記事で示せる状態ではありません。だからこそ、始める前に比較する条件と、営業が引き継ぐ基準を決めておくことに意味があります。
もし受付のある分岐で会話が止まるなら、用件の説明を見直す。特定の対象層で営業への引き継ぎが進むなら、そのリストで追加検証する。こうして次に直す場所が分かる形で電話を積み重ねることが、今回の相談の中心です。リスト抽出、受付対応、担当者との商談をつなぎ、営業が出店提案に使える時間を作る。その順序でAI電話を組み込んでいきます。








