ご相談・提案事例
出発確認をAIに任せたら、朝の4人体制はどう変わるか。例外対応から考える派遣スタッフへの電話
公開日:

集合時刻が近づいているのに、出発確認のボタンが押されていない。管理画面を開き、電話をかけ、反応があれば表の色を変える。今回ご相談いただいた人材グループ様では、こうした派遣スタッフへの確認を、朝の担当者が人の手で続けていました。電話が終わるころには、欠員や集合場所に関する別の連絡も入ってきます。
先方の説明では、日々のモーニング業務は4人体制。出発確認の架電が工数の4〜5割ほどを占める感覚があり、ここをAIに任せたいという意向でした。一方、電話が減れば必要人数も同じ割合で減るとは限りません。出発の確認が取れない人を拾い上げ、派遣先へ連絡する仕事が残るためです。
相談で重視したのは、AIの月額費用を現行の人件費と並べるだけで終わらせないことでした。対象者をどう選び、各支店からのデータをどう集め、何が起きたら人に渡すか。試行の前に詰めた業務設計と、導入判断に必要な確認事項をご紹介します。
ご相談の概要
- 対象業務
- 派遣スタッフの朝の出発確認
- 現在の運用
- アプリの確認状況と各支店のExcelを見ながら手動で架電
- 現場体制
- 打ち合わせ時点で日々4名
- 相談範囲
- 未確認者への電話、データ受け渡し、例外時の引き継ぎ
- 次の準備
- システム担当者を交えた運用確認と試行条件の具体化
朝の仕事を、出発確認・スタッフの相談・企業連絡に分ける
今回の電話は、すべてが同じ用件ではありません。スタッフの出発を確認する発信のほか、集合場所が分からないという受電、派遣先からの未到着連絡、場所が変わった際の連絡などがありました。連絡が取れないスタッフに代わり、待機人員へ連絡する場面もあると伺っています。
最も工数が大きい出発確認を切り出しても、こうした調整は残ります。例えば出発済みという回答が得られていても、現地に到着していないことはあり得ます。出発を確認する会話と、到着できない理由を把握して関係先と調整する会話では、必要な判断が違います。
そのため、まずは定型的な確認をAIへ渡し、例外に人が対応する境目を整理する案です。設計時には、応答がない状態と欠勤の申し出を同じ結果にまとめず、誰が何を確認すべきかが分かる記録にすることが重要になります。これは確認業務を引き継ぐための設計上の論点です。
全員への一斉発信より、確認ボタンを押していない人の抽出が先
現行運用では、スタッフがアプリ上で出発確認のボタンを押します。担当者は集合時刻に対して一定時間前になっても未確認の人を探し、まず短く呼び出す。さらに反応がなければ再び電話するという流れでした。自動化の対象は、当日働くスタッフ全員と同じではありません。
未確認者だけにかけるには、誰がボタンを押したかという情報が必要です。勤務予定と電話番号を最初に読み込むだけでは、その後に確認を済ませた人を除けません。打ち合わせでも、既存システムから確認状況を取得できるかが、連携を考えるうえでの中心になりました。
実際に構築するときは、発信対象をいつ更新するか、発信予約後に確認が済んだ場合にどう扱うかまで決めたいところです。本人がすでに報告しているのに電話が来ると、現場には説明の手間が増えます。電話の会話だけでなく、その直前の対象判定も一つの業務として扱います。
前夜に集まるExcelを、誰がいつ電話用データにするか
各支店やグループ会社からは、前日の夜にChatworkでExcelが送られてくるというお話でした。担当者は集合時間や補足事項を見て、確認できた人の色を変えながら作業しています。この一覧の作り方が変わると、朝の担当者だけでなく、提出する側にも影響が及びます。
相談では、決めた形式のCSVを各拠点から登録する案と、本部の担当者が集まった情報を登録する案を挙げました。どちらにも役割があります。各拠点が登録する場合は提出ルールをそろえ、本部が登録する場合は、その取りまとめ作業を残る工数として見積もる必要があります。
集合時刻、連絡先、注意事項など、現在の人が見て判断している項目を洗い出すことが次の準備になります。締め切り後の変更や重複した提出をどう扱うかも確認したい点です。システムへの自動連携が難しい場合でも、日々の登録を誰が担うかが明確なら、試行範囲を具体化できます。
現在の各支店の提出項目と更新時刻を確認する。
電話に必要な情報と出発確認の状態を整理する。
各拠点登録か本部登録かを決め、変更時の扱いをそろえる。
欠員を見つけた後の企業対応は、別の責任として残す
スタッフへの確認に加え、派遣先企業への連絡をどこまで任せるかも話題になりました。先方は、取引先への対応には人を残したいという考えを持っていました。朝の出発確認が自動化されても、欠員をどう補うか、企業へどう説明するかまで一律に決められるわけではありません。
打ち合わせでは、欠員の可能性をまずメッセージで知らせ、その後に人が対応する方法も案として挙がりました。ただし、今回の時点でその通知が実装された事実は確認できていません。必要な連絡先、通知する条件、確定情報と未確認情報の区別を整理して初めて具体化できる範囲です。
運用案を評価する際は、電話が終わった時点で仕事を完了とせず、必要な担当者が情報を受け取り、次の行動に移れたかを見たいところです。スタッフの未応答をすぐ欠勤と断定せず、残された確認時間を含めて人が判断できる形にすると、朝の限られた時間を使いやすくなります。
人件費との差額だけでなく、残る工数と超過する件数を見る
先方からは、AIを導入して1人分の仕事が減っても、利用費を差し引くと差額が小さいのではないかという懸念が出ました。想定を超える通話が発生すれば、かえって費用が上がる可能性も気にされていました。これは導入への消極性ではなく、現場の人数と支出を結び付けた判断です。
評価には、発信件数と応答があった件数を分ける必要があります。現行の集計には短い呼び出しも含まれており、請求対象となる通話の数と同じとは限りません。相談では利用状況を途中で確認することや、一定の件数に近づいた場合の対応をあらかじめ考えることも話し合いました。
あわせて、CSVの登録、例外への折り返し、結果の確認にかかる時間を残します。通話だけが減っても確認作業が増えれば、人数は見直しにくいからです。費用と工数を同じ期間で測り、平日と週末の違いも踏まえて比べると、次に調整すべき工程が分かりやすくなります。
| 確認するもの | 判断したいこと |
|---|---|
| 発信数と応答数 | 想定した利用量と費用に収まるか |
| 登録・確認・例外対応の時間 | 電話以外にどれだけ仕事が残るか |
| 未確認者から担当者への引き継ぎ | 必要な連絡を朝の時間内に進められるか |
最初から人数を減らさず、試行で体制の答えを出す
先方は、導入初日は現状の4名のままで様子を見たいと話されていました。将来的に2名、さらに少人数へ近づけたい意向はあるものの、必要人数は実際に試さなければ分からないという認識です。相談では短期間の試行を行い、その後の契約を判断する進め方を話し合いました。
次の作業は、契約条件の整理と、既存システムを管理する担当者を交えた詳細確認です。連携できる情報、支店からの提出方法、実際の朝の流れを確認する段階であり、運用開始や人件費削減が実現したという成果は、今回の資料からは示せません。
この相談で見えてきたのは、電話の自動化と人員配置を一度に確定しない進め方です。まず出発未確認者を正しく選び、人へ渡す例外を整理し、残る仕事を測る。その結果から朝の体制を変えることで、業務を維持しながら、どこにAIを広げるべきかを判断できます。








