ご相談・提案事例
月のアポ目標だけでは決めない。紹介中心の採用代行会社が、受注から逆算したAI架電の始め方
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紹介によって事業が育ってきた会社が、次の成長に向けて新規開拓を始める。そのとき、AI電話は既存業務の置き換えとは違う意味を持ちます。まだ自社の電話営業の実績がないため、費用だけでなく、どの相手にどの提案が届くかを確かめながら進める必要があるからです。
今回ご相談いただいたのは、企業の求人運用を支援する採用代行会社様です。人事担当の役割を引き受けるRPOサービスを提供し、当時は主に紹介で案件を獲得していました。今後は現場職の採用に課題を持つ企業へ電話で提案するため、人による架電とAI電話を組み合わせる案を検討していました。
相談の中心は、単に何件のアポイントが取れるかではありません。その後の受注につながる商談を作れるか、人とAIをどの条件で比べるか、どの規模なら判断に必要な材料が得られるか。提案時に整理した論点から、営業の新しい入口を作るための考え方をご紹介します。
ご相談の概要
- 事業
- 求人運用などを担う採用代行・RPO
- 従来の開拓
- 紹介を中心に案件を獲得
- 新しい対象
- 現場職の採用課題を持つ法人
- 保有する情報
- 約3,000社のリストと、一部の担当者情報
- 相談した範囲
- 人とAIの比較、台本、試行規模、商談から受注への評価
紹介の外へ営業を広げるため、架電の体制を作る
同社は求人運用を企業に代わって担うサービスを提供しており、紹介を中心に支援先を増やしていました。既存の支援先で事例を作りながら、さらに事業を拡大する段階です。新規の電話営業を強めるため、架電を担当する人員を揃える計画があり、その一部をAIが担えるかという関心から相談が始まりました。
この状況では、すでに動いている架電部隊の数値をAIに再現させる、という評価はできません。紹介で話を聞いてもらえることと、初めての電話で説明の機会を得られることには違いがあります。サービスに顧客がいるという事実を土台にしつつ、新規架電という手段がどの対象に合うかを確かめる必要があります。
対象には、建設業など現場職の採用に課題を持つ企業が挙がりました。ただし、現場職という言葉だけでも範囲は広く、業種によって人事担当の役割や電話に出られる時間は変わります。最初にどの企業群へ何の支援を案内するかを絞ることが、単なる架電件数の計画より先に必要な準備です。
アポイントの目標から、その先の受注へ視点を移す
先方には月のアポイント目標がありました。一方、会議で提示された架電件数や獲得率の想定に対しては、その後にどれだけ受注へつながるかが分からなければ判断できないという指摘がありました。電話が成立した件数、商談を約束した件数、契約へ進んだ件数は、異なる段階の指標です。
採用代行の提案では、企業の困りごとと支援内容が合っているかを商談で確認します。何となく話を聞く約束が取れただけのアポイントと、求人運用の課題を相談する認識があるアポイントでは、その後の会話が変わります。初回電話でも、何について話す時間なのかを相手と揃えておくことが重要になります。
今回の相談から考えられる評価は、アポ件数だけで終えず、実際に商談が行われたか、対象企業の課題に合っていたか、次の提案へ進んだかを追うことです。受注までの結果が出るには時間も必要です。短期の架電結果と、その後の営業結果を結び付けて見ることで、続けるための判断材料を揃えられます。
担当者情報のあるリストを、比較条件として扱う
商談の後半には、約3,000社のリストを保有し、担当者名などが分かる情報もあることが共有されました。先方にとっては、連絡先を一から集めることより、そのリストへのアプローチを誰が担うかが問題でした。この条件は、無作為な企業一覧から始める場合とは分けて考える必要があります。
提案では、社名や電話番号に加え、部署名や担当者名が分かれば、取り次ぎの呼びかけへ反映する案を説明しました。具体的な相手を呼び出せる情報は会話の入口に使えますが、リストに名前があるだけで現在も同じ担当者とは限りません。使用前には表記や担当の情報を確認し、分からないものを推測で補わない準備が必要です。
人とAIへリストを分ける際も、担当者名のある企業が片側に偏ると比較しにくくなります。業種、地域、過去の接点、保有情報の程度を揃えて分けることで、会話の進め方による差を読みやすくします。AIだけに難しいリストを渡して、紹介や既接触の企業と単純に獲得率を比べない設計が大切です。
同じ時間帯で比較したい理由は、相手の現場にある
同社が強く確認していたのは、複数の台本を同じ時間帯に試せるかという点でした。相手が現場へ出る企業では、決裁や採用に関わる人が在席する時間が限られることがあります。曜日や時間帯を変えた試験で反応が違っても、それが台本の差か、担当者の在席状況の差かを区別できないためです。
会議では複数シナリオでの並行した架電が可能と説明されましたが、実際に比較を行う際には回線構成、対象数、時間枠などを確認する必要があります。大切なのは機能名よりも、検証する条件が揃うことです。対象群と時間を合わせ、何を変える試験なのかを先に記録しておきます。
比較する内容も一度に増やしすぎないようにします。例えば、業種も台本も会話の終点も変えると、結果が良かった理由が分かりません。まず案内の入口だけを変える、次に引き継ぎ方法を比べるという順序なら、改善を社内でも説明しやすくなります。これは相談を踏まえた検証の設計であり、比較済みの結果ではありません。
対象企業の条件と、商談で話す内容を定義する。
担当者情報や業種の偏りを抑えて対象を分ける。
時間帯などの条件を揃え、変更点を限定して試す。
商談実施と受注まで追い、続ける条件を見直す。
受付で終えるか、商談の合意まで進むかを決める
AIに任せる範囲として、受付から担当者へつなぐ方法、一定の関心を確認して人へ転送する方法、折り返しの情報を残す方法などが説明されました。採用代行の詳しい提案をどこから人が行うかによって、AIに必要な情報と会話の長さが変わります。どの方法も同じアポイントとして扱うと、比較の基準が曖昧になります。
受注につながる商談を重視するのであれば、相手が何に合意したかを残したいところです。求人の運用体制を相談するのか、サービス概要の説明を聞くのか、資料を受け取るだけなのか。目的が明確になれば、引き継ぐ営業も準備を合わせられます。採用に困っているはずだと決めつけず、会話で確認できた範囲を渡します。
また、会話を長くすれば質が高くなるとは限りません。初回の電話で聞くべき内容と、商談で掘り下げる内容を分けることで、相手の負担と営業の必要情報を調整できます。今回の相談では具体的な台本を完成させた段階ではないため、こうした合意の取り方を今後の設計で詰める必要があります。
小さく始める条件も、判断のための設計に含める
費用については、当初説明された試行規模に対して、現時点では投資しにくいという意見がありました。その後、試す規模や期間など個別条件の調整が話し合われ、見積もりと提案資料を受け取る流れになっています。この場での個別交渉を、現在の標準料金や誰でも利用できる条件として紹介することはできません。
規模を小さくするときも、単に発信件数を減らすだけでは判断材料が薄くなります。どの対象で、何を確かめれば次の判断ができるかを先に決めます。反応が得られなかった場合には、会話の入口、担当者への接続、提案内容のどこで止まったかを確認できるよう、通話内容と結果を残す設計が必要です。
原本では導入に向けた意向と条件の相談が確認できますが、契約締結や運用開始、受注増加の実測までは確認できません。今回の意味は、紹介中心の事業が新しい営業手段を選ぶ際に、アポの件数だけで判断しなかったことです。受注から逆算した目的と、比較できる試行条件を揃えることが、次の一歩を具体的にします。








