ご相談・提案事例
対象市場は約1万社。一度の電話で関係を損なわない、SaaS営業のAI活用とSalesforce連携
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一度の電話でアポイントが取れなくても、その企業との関係は続いていく。対象となる市場の母数が約1万社というSaaS企業様からのご相談では、この前提がAI電話対応の使い方を大きく左右していました。
期待されていたのは、人によって経験や対応が変わるインサイドセールスを、一定の基準で続けられることです。一方で、質問をはぐらかすような電話で相手に悪い印象を残したくない。電話で得た情報は、普段の業務で使うSalesforceへ戻したい。この二つが具体的な条件として挙がりました。
コールフォースとの打ち合わせでは、実際のトークと知識を入れたデモで会話を確かめることと、アポイントにならなかった電話の情報まで営業に使えるようにすることを話し合いました。
ご相談の概要
- 事業
- 特定の業界向けSaaSの提供
- 市場の前提
- 対象母数は約1万社という商談時の説明
- 相談の背景
- 営業担当者ごとの対応差と、長期の顧客関係への配慮
- 重視する運用
- 会話の質を専用デモで確認し、情報をSalesforceへ戻す
約1万社の市場では、一件の電話をその場だけで評価できない
会社様から伺ったのは、広い業種へ同じサービスを提案する営業とは、対象の広さが違うという話でした。自社サービスの領域が決まっており、対象となる母数は約1万件前後。接点を持つ相手が限られる中で、認知を得て、関係をつくり、その後の提案へ進めることを重視されていました。
そのため、AIで短期間に多くの電話をかけられることだけでは、判断の材料になりません。一回目に不自然な回答や強引な案内をすれば、次に連絡する際にもその印象が残る可能性があります。将来もう一度話す相手として、最初の電話を設計する必要があります。
この会社様が期待されていたのは、単純にリストを消化することではなく、一定の対応を続けられることでした。担当者の経験やそのときの状態で会話が変わる課題に対し、AIなら定めた方針に沿って話せるのではないかという関心です。会話の一貫性と、相手に与える印象をあわせて確かめる相談になりました。
質問をかわして先へ進む会話は、この営業に合うのか
商談では、録音を返す方式と、知識をもとに回答を組み立てる方式を説明しました。会社様からは、決まった対応をきちんと行いながら、必要な説明ができるのであればAIを使う意味がある、という趣旨の意見がありました。
特に問題になるのが、相手から具体的な質問を受けたときです。用意していない質問に答えず、アポイントの案内だけを続けると、その電話の印象を損なう可能性があります。今回も、デモの受け答えや、価格を聞かれたときの対応が確認の対象になりました。
そこで、実際の商材のトークと必要な知識を用意し、会社様向けのデモで確かめる方向を提案しました。自社のサービス内容、回答に使ってよい実績、説明できる条件を入れたときに、質問にどう答えるか。一般向けのデモだけでは判断しづらい部分です。
すべての質問にAIが答える前提にする必要はありません。確かな回答ができる範囲と、担当者が詳しく案内する範囲を決めます。そのうえで、回答できない場合にも話をそらして先へ進めず、次の対応につながる案内ができるかを確かめることが重要です。
アポイントが取れなかった電話も、顧客情報として残したい
会社様からは、電話の結果には、受付を通過した、担当者の名前が分かった、了承を得られた、断られたなど、さまざまな状態があるという質問がありました。その情報をSalesforceへ連携できるか、という具体的な確認です。
この質問は、今回の営業で何を成果と捉えるかを表しています。アポイントの日時だけが欲しいのではなく、顧客の情報を得て、その後の接点づくりに使いたい。電話一本の成否より長い期間で、相手との関係を見ているわけです。
コールフォースからは、会話の内容に応じてタグを付け、必要な情報を営業管理へ返す方向を紹介しました。録音や文字起こしを確認し、内容によって再度電話する、顧客情報として残すといった使い方も話しています。
例えば、担当者の名前を得られた電話は、日程が決まっていなくても次の連絡に使える場合があります。一方、断られた内容によっては、同じ案内を繰り返すべきでない場合もあります。こうした違いを、営業担当者が後から分かる形にすることが、連携する情報を決める出発点になります。
| 電話で得た状態・情報 | 次の営業で確認できること |
|---|---|
| 受付を通過できた | 誰にどのように取り次がれたか |
| 担当者の名前が分かった | 次の連絡で案内すべき相手 |
| 質問や関心があった | 追加で説明したい内容 |
| 断られた | 同じ案内を続けてよいか判断する材料 |
| アポイントが決まった | 日時と、相手が聞きたい内容 |
普段の仕事はSalesforceのまま。何を返すかから連携を考える
この会社様は、Salesforceを営業管理の中心に使われていました。Salesforceにあるリードに対して電話をかけ、その結果を戻すことができるか。AIを導入しても、日々の業務の流れを維持できるかが論点です。
コールフォース側の管理画面に情報が残るだけでは、普段Salesforceを見ている担当者が確認し直す作業を負う可能性があります。商談では、Salesforceを基本の画面として使える方向を説明しましたが、連携は別途の設計と見積もりが必要な内容です。実装済み、あるいは標準料金ですべて対応できるという説明ではありません。
具体化する際は、『連携できるか』という問いに加えて、『どの情報がどこへ入れば、次の仕事を始められるか』を考える必要があります。相手の氏名、会話の状態、確認できた内容、次の対応など、営業側が必要とする項目を先にそろえます。
この案件では、既存業務と大きく変わらない形で情報を扱えるかを重視されていました。AIが増やした会話の分だけ、人の転記作業が増えてしまえば、目指す運用から離れます。電話の実行と記録を、普段の営業の中へどう組み込むかを考える提案です。
専用デモでは、取れそうな電話だけでなく、答えにくい質問も試す
商談の中では、相手に与える印象を重視したデモを先に作り、実際の会話を確認してから判断する方向になりました。会社様からトークスクリプトや必要な情報を共有いただき、その内容を当てはめて確認する流れです。
この目的に沿うなら、デモでは順調に進む会話だけでなく、具体的な質問、断り、担当者不在なども試す価値があります。質問にどの程度まで答えるか、無理にアポイントへ誘導しないか、回答できないときにどう終えるかを確認します。これらは実際の受け入れ確認に向けて整理したい観点です。
また、会話の内容がどのような記録になるかも、一緒に見る必要があります。口頭では正しく答えていても、営業側が必要な情報を読み取れなければ、次の対応には使いづらくなります。会話と、その結果の記録を対にして確認することが、今回の要望に合った進め方です。
AIに持たせる知識も、量だけで判断しません。サービスの説明に必要な情報、使ってよい実例、担当者へ任せる質問を分けます。会社の営業方針に合った会話を確認し、そのうえで運用の範囲を決めていくことになります。
自社のトークと、回答に使うサービス情報を用意する
相手に残る印象を重視して、専用デモを組む
質問・断り・終話・人への引き継ぎを試す
必要な通話情報とSalesforceへの連携方法を確認する
会話の質と既存業務への組み込みを見て、導入を判断する
電話を増やす前に、次の営業につながる条件をそろえる
今回確認できたのは、専用デモを作り、その内容を見たうえで導入を判断する方向です。Salesforce連携の実装完了や、本番運用による獲得成果までを確認した事例ではありません。
提案の軸は、限られた対象市場で、会話の印象と顧客情報の両方を残すことでした。アポイントになった電話だけでなく、担当者が分かった電話、質問を受けた電話、断られた電話も、次の営業を考える情報として扱います。
対象企業と長く付き合う営業では、短期間の架電数に加え、一件の会話をどう継続的な接点へ変えるかが大切です。自社の台本での受け答えと、普段使う営業管理への情報の戻し方。この二つを具体的に確かめることが、今回の相談から見えてきた判断の順番です。







