導入準備の事例
17時に電話する理由まで引き継ぐ。店舗向けSNS営業で、人とAIを比べるための導入準備
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電話のトークが同じでも、かける時間が変われば結果は変わります。店舗の開店前なら話せる担当者も、接客が始まれば会話を続けられません。店舗向けにSNS運用支援を行う会社様との導入準備では、これまで人が蓄積してきた『どの業態へ、何時にかけるか』という時間割を、AIへどう引き継ぐかが大きなテーマになりました。
先方が最初に確かめたかったのは、人とAIでアポイント率にどれだけ違いが出るかです。いきなり新しい時間帯や新しい対象へ広げるより、既存の運用条件に合わせて比較したい。この目的から、リストの分け方、会話の短さ、断られた理由の記録まで話が広がりました。
なかでも特徴的だったのは、『SNSをやりたいが、顔出しが難しくて始められない』といった反応を残したいという要望です。アポが取れたかだけで終わらせず、担当者なら次の提案ができる会話をどう見つけるか。その具体的な設計を紹介します。
ご相談の概要
- 対象業務
- 店舗へSNS運用支援の商談を案内する電話
- 最初の検証目的
- 既存の架電条件で、人とAIのアポイント率を比べる
- リストの軸
- 業態、地域、対応しやすい時間帯、SNS運用状況
- 残したい反応
- 取り組みたいが、顔出しや出演者などの事情で動けない理由
業態が同じでも、地域が違えば開店前の時間は変わる
先方には、過去の営業から得た時間帯ごとの知見がありました。夕方のどの時間に、どの業態へ電話すると話をしやすいか。店舗の営業時間を踏まえて、細かな時間割を組んでいたといいます。
打ち合わせでは、夕方から夜の架電を中心に、開店前の時間を狙う話がありました。ただし、同じ業態であっても首都圏と他の地域では開店時間がずれる場合があるため、業態だけで一つのリストにまとめると、話せる時間を外してしまいます。
そこで整理したのが、時間帯に合わせてリストを分け、同じトークでも対象と発信時間を変えて運用する方法です。この記事のタイトルにある17時は、すべての会社へ推奨する時間ではありません。現場がその時間にかけている理由を、AIへ引き継ぐ必要があるという意味です。
最初は、人とAIの違いを見たい。変える条件を増やしすぎない
導入準備で先方が明確にしたのは、まず人とAIのアポイント率の差を見たいという目的でした。新しい業態や、今まで試していない時間帯への架電も話題になりましたが、最初の比較では既存の時間割に合わせる方向で整理しています。
リスト、時間帯、案内するプランを同時に変えると、結果が変わった理由が分かりにくくなります。AIの会話が合わなかったのか、そもそも対象が違ったのか、接客時間に重なったのか。複数の条件が混ざると、次に何を直すべきか判断できません。
実務上は、まず既存の対象と時間帯を再現し、その後に一つずつ新しい条件を試す設計が考えられます。今回の議事録に人とAIの比較結果はまだありません。比較しやすい運用を、開始前につくっている段階です。
| そろえる条件 | 今回の整理 | 比較で見たいこと |
|---|---|---|
| 架電する相手 | 業態と地域で分けたリスト | 対象の違いによる影響を抑える |
| 架電時間 | 既存の営業で使っている時間割 | 話せる時間を外していないか |
| 会話の目的 | 短い会話から商談の日程へ進める | 同じ目的で人とAIを比べられるか |
| アポ以外の記録 | 断られた理由や次に話せる可能性 | 人が引き継ぐ対象を見落とさないか |
台本にない切り返しは、実際の通話記録から拾う
先方には既存のトークスクリプトと、コールシステムに蓄積された会話の記録がありました。準備では、それらを共有いただき、どのような断られ方が多いか、担当者がどう返しているかを確認する流れを提案しました。
打ち合わせ中の実演では、SNS運用の案内から、オンラインで実績を紹介する短い商談へ誘う流れを確認しています。その一方で、相手の質問に応じた返答の一部は台本に書かれておらず、担当者が経験から答えていることも分かりました。
台本だけをAIへ渡すと、この経験に基づく部分が抜け落ちます。よくある質問、会話が止まる理由、相手が話を聞き直すきっかけを整理し、どの範囲をAIの知識や分岐へ入れるかを決める必要があります。電話で開示してよいプランの情報と、商談で詳しく説明する内容の境界も確認しました。
SNSを運用しているか分からない相手に、運用中と決めつけない
人が架電する際には、事前に相手のSNSアカウントを見ている場面がありました。しかし、その確認結果が必ずしもリストの項目として入っているわけではありません。人が画面を見て判断していた前提が、AIへ渡すデータには存在しないことがあります。
このため、SNSの運用状況が分かるリストと、それ以外を分ける話になりました。運用している形跡が確認できる相手には、その情報に沿って話す。一方で不明な相手には、現在の運用状況を確認するところから始める必要があります。
AIに持たせる情報を増やすときは、項目数だけでなく、その情報を根拠に何を話してよいかまで定めることが大切です。SNSアカウントがあるという情報だけで、現在の運用体制や成果への不満まで決めつけることはできません。聞く前提と、会話の中で確かめることを分ける設計です。
『興味なし』と『やりたいができない』を、一つの結果にしない
アポイントが取れなかった相手のうち、どのような反応を担当者へ残したいかも掘り下げました。先方が挙げたのは、顔を出せない、出演する人が足りないといった、SNSに取り組みたい気持ちはあっても方法が分からないケースです。
こうした理由が分かれば、専門の担当者が別の運用方法を提案できる可能性があります。一方で、はっきり不要と伝えている相手まで、同じように追う方針ではありません。会話に出た理由と、その説明に対する相手の反応を残すことが重要になります。
打ち合わせでも、この先のフォローは人が行う仕事として整理しました。AIが自動的に商談の見込みを保証するのではなく、人が通話内容や記録を見て判断できるようにする。担当者が一件ずつすべての音声を聞き直さなくても、確認すべき反応を見つけやすくするための設計です。
資料の送付は、相手の了承と、渡してよい内容をそろえて行う
携帯電話への架電が多いことから、SMSで資料のURLを送る運用も話題になりました。方針は、相手に資料送付を案内し、送ってほしいという了承があった場合に送ることです。アポイントを断られた相手へ一律に送る形ではありません。
送る内容にも線引きがありました。料金やプランを説明する資料は送ってほしい一方、取引先店舗の情報を含む導入事例は、そのまま送る対象にしないという意向です。同じ『資料送付』でも、何を公開してよいかまで決めなければ運用は完成しません。
実装時には、了承を得たこと、送付する資料、送信結果を扱える形に整理する必要があります。今回の議事録で確認できるのは、その方向性と準備事項です。送信機能が本番稼働し、反応が得られたという成果を示すものではありません。
人の営業経験を、AIへ渡せる運用条件にする
今回の導入準備で必要だったのは、台本の文章だけではありませんでした。業態と地域ごとの架電時間、SNSの運用状況、現場で出る質問、フォローする価値がある反応、資料送付の了承。担当者が日々判断していたことを、AIに渡せる条件へ整理しています。
トークを固め、必要な音声と会話の材料を用意し、デモで確認してから運用へ進む流れも説明しました。開始を急ぐ場合でも、何をそろえて人と比較するのかが曖昧なままでは、実施後に改善点を見つけにくくなります。
AI電話対応を導入する前に、自社の担当者が『なぜこの相手へ、今、電話しているか』を言葉にしてみる。その理由をリストと時間割、会話の分岐へ落とし込むことが、現場の経験を活かした運用につながります。
既存の台本と通話記録から、会話のパターンを集める
業態・地域・時間帯と、確認できるSNS情報でリストを整える
引き継ぐ反応、資料の内容、送付の了承条件を決める
既存の架電条件でデモと初期運用を組み、比較の軸をそろえる








